The beast.


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<登場人物>
僕:
 醜い人間である自分が嫌になり、自らに魔法をかけて美しい獣になりました。
あなた:
 僕のお城にやってきた人間。僕に真っすぐな愛を向けてくれる。





※台本中の表記
 「」:通常台詞
 【】:語り台詞またはモノローグ的台詞
  [ ]:情景描写(台詞ではありません)

※この台本は、ボカロ曲『The Beast.』を題材元としております。
 二次創作が苦手な方はお引き返し下さい。
!━━━≡≡≡⊂´⌒⊃゜Д゜)⊃━━━ここから本編━━━⊂(゚Д゚⊂⌒`つ≡≡≡━━━!



僕【隠し事をしてました。傷つくのが嫌でした。
  やっと築いた僕だけのお城は、あまりに空虚で満ちていました。】


[『僕の城』の城壁に登った少年が、大きな声で話しかけてくる。]

あなた「やぁ!君がこのお城の主(あるじ)さん?」

僕【美女と野獣の王子は、魔法を掛けられて、人から醜い獣の姿になりました。】

あなた「村の人達は、ここには恐ろしい獣が住んでるって言ってたけど・・・
  聞いてたのと全然違うや!とっても綺麗だし♪」

僕【僕は自らに魔法をかけ、醜い人から美しい獣になりました。】

あなた「ねぇ、俺と遊ぼう!それか、お話ししよう!」

僕【秀麗な面立ちと死なない身体を手に入れた僕は、
  一人で何でもできる気になっていたのです。】

あなた「聞こえてないのかなぁ・・・・・よ〜し、そぉ〜、れっ!!!」

僕【ある日現れたあなたは、僕が望む全てを持ってた。
  僕が積み上げたレンガを、容易く飛び越え触って気づいた。】

あなた「待って、逃げないでってば!こんのっ、と!捕まえた!
   ・・・冷たい・・・・・悲しいくらい、冷たい。
   ずっと一人だったの?こんな大きな城で?
   ・・・・・寂しかったんだね。
   誰かと一緒にいたら、あったかくなるもん。」

僕【僕は怯えて、あなたから離れて、あなたとの距離を測って、
  それでも焦って、気が乱れて】

あなた「え?」

僕【僕はあなたを貶して、逃げ出した】

あなた「あ!待ってよ、ねぇ!俺、今日からここに住むよ!
   一緒にいた方がきっと楽しいよ!だから、ねぇってば!!」



間。



[数日後。少年は両手いっぱいに果物を抱えてやってきた。]

僕【やっと現れたお城の住人。初めての愛に、戸惑いました。】

あなた「えへへ、村から果物もらってきたよ!今朝獲れたばっかりのやつ!」

僕【あなたは、僕の手を握って】

あなた「ほら、食べてみ・・・あだっ、いだだだだだだだだだ!?」

僕【僕はその腕を齧って】

あなた「うあっ!」

僕【あなたは持っていた果物を腕から零して】

あなた「わわわわわ、ちょ、ちょっとまっ、落ち着いてって!」

僕【僕は暴れて】

あなた「大丈夫!毒なんて入ってないって!大丈夫だから!」

僕【それでもあなたは果物を拾って、僕の手を掴んでた】

あなた「いてててて・・・・・怖いなら、俺が毒見してあげるよ。
  あと、君がここにいることは誰にも言ってないから。
  そんなに人が怖い?って、そりゃそうか。
  ずっと化け物扱いだったもんね。
  大丈夫、こんな綺麗な獣がいるなんて、誰にも教えてあげないから、さ♪」

僕【・・・初めての愛に、戸惑いました。】



間。



[十数年後。少年は大人になってもなお、城にいた。]

あなた「ん、村を眺めてるの?」

僕【城から見える、賑わう村の様子。
  行き交う群衆の愛を見つめ、あなたが一番大切になるのを避け続けた。」

あなた「そういえば君、家族の話とか全然してくれないよね。
  獣になってから、どれくらい生きてるの?
  その魔法って、俺にも掛けられないかな?
  そしたら、君とずぅっと一緒に居られるのに。」

僕【孤独に慣れ親しんだこの身が、あなたという日だまりで溶けるのを許さない。】

あなた「クスッ、ホント君って無口だね。昔から全然変わらないや。アハハハハハ!」

僕【だから猶の事、他人を必要だと思う自分が許せなかったのです。
  強がりは半世紀に渡り・・・それはあまりに幸福な時間でした。】



間。



[およそ50年後。ベッドには老いた男性が横たわっている。]

あなた「なんだか・・・すっごく、眠いな・・・・・ゴメン・・・・・」

僕【隠し事をしてました。失うのが嫌でした。】

あなた「もう、起きるの・・・無理、みたいだ・・・・」

僕【隠し事をしてました。それが愛と知っていました。】

あなた「大丈夫。僕が眠っても、君のことを・・・夢に、見るか、ら・・・・」

僕【隠し事をしてました。永久(とわ)の愛を望みました。】

あなた「だから・・・どうか・・・笑っ、て・・・・・おやすみ・・・。」

僕【そっと消えていった城の住人。恐れた感情が込み上げました。
  僕に与えられたのは永遠だけ。
  ・・・初めて、人のために吼えました。】

僕「(涙を堪えながら)あなたに、縋って、手を握って、笑って、愛せばよかったなぁ・・・!」



間。



僕【与えられたあなたの温もりの影が、僕の孤独の城を許さない。
  自分で魔法の枷を嵌めたこの身体は、永久(とわ)に僕の終わりを許さない。】

あなた「君は獣で、俺は人だったけれど、君は愛を知っていた。
  獣だって、人だって、愛を振りまくことができる。
  君は、ほんの少し幼くて、プライドが高かっただけ。
  大丈夫。
  今の君なら、村の人達も怖がらないし、君もみんなを好きになれると思う。
  だから・・・もう、泣かないで。」

僕【行き交う群衆に愛を蒔いて。
  永久(とわ)に涙を紡ぎ続けて。
  またあなたに会える、その日まで。
  何千年先も、待ち続ける。】


[数千年後。『僕の城』の城壁の上に登った少年が、大きな声で声を掛ける。]

あなた「やぁ!君がこのお城の主(あるじ)さん?」



The End.





〜隠し事をしてました この曲が大好きでした〜
どうも、犯人です。
歌いながら泣いたこの曲を思い出して、つい二次創作を・・・。
いいんだいいんだ!演じながら泣いてもらえればいいんだ!←
歌詞をほぼそのまま台詞として引用させていただいたのですが、いかがだったでしょう?
機会がありましたら原曲をぜひ!と宣伝しつつ、よかったらどうぞ。
									Special Thanks: スペクタクルP様
		






   
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