玩具箱
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<登場人物>
御主人:
私。昔から続く趣味の創作が現在の仕事。多くのキャラクターを生み出し続けている。
ナタク:
1人目。誰からも愛される、しっかり者。他人を責めることはしない。
カムイ:
2人目。仲間と世界のために戦う優しい人。穏やかな少年。
モユル:
3人目。狐に憑かれた少年。どこか達観しているような、落ち着いた人。
アカネ:
4人目。みんなから守られるか弱い子。とっても臆病。
カナメ:
5人目。冷静でカッコいい。最低限の良心を捨てきれず、人のために自分を傷つける。
要一:
御主人を担当する編集さん。御主人より大人で面倒見が良く、ちょっと心配性。
※この台本は、ボカロ曲「繰り返し一粒」の歌詞を引用させていただいております。
個人的解釈によって構成したストーリーですので、苦手な方はリターン推奨。
!━━━≡≡≡⊂´⌒⊃゜Д゜)⊃━━━ここから本編━━━⊂(゚Д゚⊂⌒`つ≡≡≡━━━!
[薄暗い広い部屋。辺りには子どもが遊ぶような玩具やぬいぐるみが転がっている。]
ナタク「最初に生まれたのは、私。
誰からも愛されて、時には御主人の代わりを務めた。
御主人は、私をたくさんの世界に連れて行ってくれた。
でも・・・御主人が変わってから、私は箱に入れられた。」
カムイ「2番目に生まれたのは、俺。
両親を失った悲しみと、世界を背負って戦った。
御主人は、俺を支えてくれる仲間と、俺を愛してくれる人をくれた。
でも・・・やがて俺も、箱に入ることになった。」
モユル「3番目に生まれたのは、小生。
とある妖狐に憑かれて以来、永遠(とわ)に生き続ける呪いをかけられた。
御主人は、小生が人生に飽きぬようにと、愉快な暮らしを提供してくれた。
しかし・・・小生もまた、箱に入らねばならぬ運命にあるらしい。」
アカネ「4番目に生まれたのは、ボク。
家族に愛してもらえなくて、孤児院であった子と、仲良くなって。
御主人は、ボクが安心できる暖かい場所を用意してくれた。
だけど・・・ボクも、箱の中に行かなくちゃいけないみたいだ。」
カナメ「5番目に生まれたのは、俺。
冷静に物事を判断し、自分なりの正義心を持って行動した。
御主人は、平凡以下の存在だった俺に、力と才能を与えてくれた。
最近生まれたばかりの俺は、まだ箱を知らない。」
御主人「この腕の中で、甘い幻想を描き続けた。」
ナタク「でも、私たちには、それが最初で最後の夢だった。」
カムイ「俺たちの居場所は、無くなった。」
御主人「・・・無くなったわけじゃない。私は、無くしてなんか・・・!」
ナタク「違う。無くなったの。でも、御主人が奪ったわけじゃない。」
カムイ「俺たちには、俺たちが居られる場所、世界がある。ただそれだけ。」
ナタク「御主人の中にある箱の中に、私たちは詰められた。
箱の外にはもう、私たちの居場所はないの。」
御主人「・・・私が、あなたたちを覚えているのは・・・」
モユル「小生らが、貴殿の玩具箱に詰められているゆえ。」
御主人「おもちゃ、ばこ?」
アカネ「ボクたちは、御主人が生み出してくれた。
御主人は、ボクたちを大切にしてくれる。
だから御主人は、ボクたちを捨てずにいてくれる。」
御主人「捨てることを、忘れてるだけじゃ・・・・・」
カナメ「それならば、なぜ今捨てない?」
御主人「!?」
カナメ「忘れていたのであれば、その事実を伝えられた今、なぜ切り捨てない?」
ナタク「私が最初に玩具箱に入れられてから、もう10年も経ってるんだよ?」
カムイ「不要になった、使わなくなったのなら、捨ててもいいんだろう?」
モユル「しかし捨てていない。貴殿は、小生らを切り捨てなどしない。」
アカネ「それは、御主人がボクらを愛してくれているから。」
御主人「自分で生み出した存在を、愛さずにいられると思う?」
カナメ「もちろん、愛さないわけがない。それが御主人の本質だから。」
御主人「けれど、あなたたちを生み出すたびに、一人への愛情は・・・」
ナタク「御主人は、みんなを愛してくれてる。もちろん、私も。」
カムイ「ちゃんと感じてる。だから、俺たちはここにいる。」
御主人「っ、なんで・・・なんで責めないの!?
『信じてたのに裏切られた』って!『初めから全部嘘だった』って!
私が・・・・・私があなたたちに言う『愛してる』は、
あなたたちを飼い馴らすための餌だった!!!」
モユル「・・・・・御主人。」
御主人「そんな軽いフレーズなんだよ!愛してるなんて言葉はさ!
私にとっては、あなたたちを生み出すことも、全部遊びで・・・!」
アカネ「御主人?」
御主人「・・・あなたたちを箱に入れたこと、どれだけ後悔したって、
もう元には戻らないんだよ・・・・・。」
モユル「しかし、貴殿の作った箱のフタは閉じられない。
いつの日か、貴殿が小生らを呼び出してくれるだろう。」
ナタク「御主人。私たちは誰も、御主人を恨んでないよ。」
カムイ「箱の底で深い眠りに落ちようとも、俺たちは・・・」
御主人「違う・・・これは、私の頭の中だから・・・
私がそう望んでるから・・・だからあなたたちは・・・
本当はっ、こんなんじゃ・・・・・・!」
間。
[場面転換。辺りが真っ白に塗り替わる。その場にはナタクだけが立っている。]
ナタク「ふふふっ、今度はどんな世界に行けるのかな〜。
忍者がいっぱいいて、戦ってる世界?
それとも魔法が使えちゃう世界?
人とロボットが共存している世界とか?
ん〜!楽しみだなぁ〜!」
[ガラスの割れる音。同時に、辺りが闇に包まれ、ナタクの表情が変わる。]
ナタク「どうして・・・私、こんな暗い場所に?
御主人、ねぇ、御主人ってば!
ここ、暗いよ・・・・どこなの・・・・?
クマのぬいぐるみ、積木、剣玉、おはじき・・・・・玩具、ばっかり。
これは・・・・玩具箱?」
[場面転換。辺りが真っ白に塗り替わる。その場にはカムイだけが立っている。]
カムイ「聡明で堅実な両親は、もういない。
俺を愛してくれる家族は、いなくなってしまった。
けれど、今は仲間がいる。
世界が危機に晒されている中、立ち止まってはいられない。
世界のために・・・一緒に戦ってくれる仲間のために、俺は・・・・・!」
[ガラスの割れる音。同時に、辺りが闇に包まれ、カムイの表情が変わる。]
カムイ「俺の物語は・・・未来は・・・・・そうか。
御主人は、書けなくなってしまったんだな。
俺の行く末を、世界の結末を、物語の果てを。
だからこうして、俺を玩具箱に入れたんだろう?」
[場面転換。辺りが真っ白に塗り替わる。その場にはモユルだけが立っている。]
モユル「妖狐にこの命を救われて以来、小生は様々な物に逆らうようになった。
それは時に流れであり、時に止まることでもある。
人と妖怪の入り交じる世界。
御主人は、御主人にとっての現実に近い世界を望まれた。」
[ガラスの割れる音。同時に、辺りが闇に包まれ、モユルの表情が変わる。]
モユル「されど、小生は御主人に逆らうことはできなかった。
それは小生の意志にあらず、抗いようのない理(ことわり)であって。
箱の上の方にしまわれど、手にとっては箱に戻される、その繰り返し。」
[場面転換。辺りが真っ白に塗り替わる。その場にはアカネだけが立っている。]
アカネ「お父さんも、お母さんも、お兄ちゃんも、妹も。
みんな、ボクを愛してくれることはなかった。
ボクに笑顔を向けてくれることなんて、なかった。
でも、施設に入って、初めてボクの名前を呼んでくれる人に出会って、
その子と一緒にいると、とても安心できた。
ボクを可愛がってくれたお兄ちゃんのことは忘れられないけれど、
きっとこの先、いつか会いたいと思っていた。」
[ガラスの割れる音。同時に、辺りが闇に包まれ、アカネの表情が変わる。]
アカネ「ボクの未来は、綴られなかった。
御主人は、ボクの先を書けなかった。
信じてたのに・・・心から信じていたのに。
疑うなんて嫌だった。
どんどんボクを置いて、離れていってしまうような気がした。
ボクのことが嫌いになったの?
・・・・・ううん、違う。
最初から、近づいてなかったんだ。」
ナタク「私たちに飽きたら、捨ててしまうの?」
カムイ「代わりにはいくらでもいたんだって気づかれたから、
俺たちは退場させられたのか?」
モユル「所詮小生らは、繰り返しの一粒。消耗品にすぎなかったということですか。」
アカネ「ボクたちで散々遊んで、その後は、捨てることすら忘れてしまうの!?」
[場面転換。4人の入った玩具箱を持ち、立ち尽くす御主人。]
カナメ「御主人が想像していたのは、こういうこと?」
御主人「うん、そうだよ。私は、こうやって責苦(せめく)を負うべきなんだ。」
カナメ「・・・それでも、彼らを描いた本は消えない。
御主人が、ずっと描き続けてきた、御主人の夢の本。」
御主人「けれど、その表紙は濁ってしまって、毒の花が植え付けられた。
決して枯れない、根から花びらを咲かせる、毒の花。
どれだけ摘んでも限りなくて、薬でどうこうしたくても、
副作用が強すぎる。」
カナメ「御主人。彼らを『愛してる』と言ったのは・・・・・」
御主人「さっきも言った通り、飼い馴らすための、餌。」
ナタク「そんな軽いフレーズだったんだね」
アカネ「便利な道具だったんだね」
御主人「そう。・・・どんなに後悔したって、もう元には戻らない。
彼らの物語を綴れなかった、だから玩具箱にしまったの。
(自嘲するように)飽きちゃったんだよ!彼らを愛することに!」
カムイ「都合よく映されていたんだ、俺たちは。」
モユル「あなたは自覚を持たず、意味を失った言葉を小生らへ向けていた。」
御主人「っ、あぁそうだよ!私はっ、あなたたちを利用していただけ!
なんでも思い通りで、扱いやすかった、ただそれだけ!」
カナメ「・・・・・・嘘つき。」
御主人「・・・え?」
[場面転換。辺りが真っ白に塗り替わり、御主人の持っていた玩具箱が消失する。]
カナメ「御主人は嘘つきだ。」
ナタク「本当に愛していないなら、私たちのことで苦しまない。」
カムイ「捨てることすら忘れていたなら、俺たちを覚えていない。」
モユル「何度も箱から手にとって取り出しては戻す、そんな繰り返しも行わない。」
アカネ「いつでもボクたちが外に出られるようにと、玩具箱のフタは閉じられていない。」
御主人「私は・・・あなたたちを並べて、比べて・・・・・それで・・・・・!」
ナタク「御主人はさ、本当にいろんな世界が大好きなんだね!
自分が創造した世界だけじゃなくて、他の人が作った世界も!
えへへ、私と同じ♪」
御主人「な、ナタク・・・・?」
カムイ「自分を愛してくれる人を求めて、必死にもがいて生きて。
友達・仲間のために頑張って、世界の平和を望んでる。
世界観は違うだろうけど、俺と同じだ。」
御主人「カ、ムイ・・・・」
モユル「残る生涯、どうか平穏に暮らしたい。
かといって退屈は好まず、ありきたりで愉快な暮らしがほしい。
小生が願っているそれと御主人の願い、実に似通うものがある。」
御主人「モユル・・・・」
アカネ「御主人は、あたたかいものが苦手なんだね。
優しさ・ぬくもり・愛情・恩赦。
ボクと同じ・・・・それもそうだよね。」
御主人「アカネ・・・・?」
カナメ「みんな御主人から生まれた、御主人が生み出してくれた。
御主人の思い、たくさん詰まってる。
自分で生み出しておきながら、みんな玩具箱に詰め込んで、
そのことを罪と捉えて自分を責める。
それは、御主人に良心があるから。
自分で自分を苦しめることも厭わない、それでいて俺たちを忘れない。
御主人なりの、精一杯の優しさだ。」
御主人「そんなの・・・・そんなの、あるわけないよ・・・・・・」
カナメ「あるよ、ちゃんと。
きっと、俺が一番良くわかってると思う。」
御主人「どう、して・・・・?」
カナメ「・・・俺は・・・・いや。
俺がこの中で、今の御主人の思いを一身に受けているから。
良心があるせいで、良心を捨てることが出来なくて、悪になることができない。
御主人が生み出してきた誰よりも、俺は御主人を理解してる。
だからもう・・・自分を責めるのは、やめよう。」
御主人「・・・カナメ・・・・・」
カナメ「ほら、もう行かなくちゃ。・・・またね、御主人。」
御主人「あ・・・うん。また・・・あれ・・・・・?」
[御主人の姿が消える。]
アカネ「・・・行っちゃったね。」
カムイ「そうだな。」
アカネ「・・・・・もう、会えないのかな。」
モユル「本来、この玩具箱は御主人の来るべき場所にあらず。
されど、ここは御主人に寄り添う記憶の場。」
アカネ「じゃあ、忘れないでいてくれるかな?」
ナタク「きっと忘れないよ。だって、私たちの御主人だもん!」
カムイ「俺たちが生まれたこと。」
モユル「小生らがここにいること。」
ナタク「みんなみんな、御主人は覚えていてくれる。」
アカネ「・・・うん。ボクはずっと、信じてる。」
[場面転換。付けっぱなしのPCが置かれている机に、御主人が突っ伏している。]
御主人「ん・・・・っ、ぅ・・・・あ、れ・・・・?
私・・・あぁ、そっか。
昔書いてたキャラクターの設定見てたら、そのまま・・・・」
要一「全く、そのルーズなライフスタイル、どうにかなりませんか?」
御主人「のわぁっ!?あ、よ、要一、さん・・・・オハヨウゴザイマス・・・・」
要一「おはようございます。次回作は決まりましたか?」
御主人「あ〜・・・ネタは、あるんだけど。
てか、なんで部屋に入ってるの?
いくら編集さんだからって、不法侵入は・・・・・」
要一「ドアの鍵が開きっぱなしだったので、事件性を危惧して突入しました。」
御主人「あらま。掛け忘れちゃってた・・・・ごめん。
要一「以後、気を付けて下さいね?」
御主人「はぁい・・・・。」
要一「それにしても・・・・昔の設定なんて、お遊びで書かれていたものでしょう?
まぁ、引用できるものがあれば、掘り出してきてくれる方がありがたいのですが」
御主人「!・・・クスッ」
要一「ん、なんです?」
御主人「いや、要一さんには、こういう仕事ってお遊びなのかな〜って思って」
要一「仕事は仕事ですよ。生業になるまでは遊びに等しいでしょうけれど。」
御主人「要一さんも、何か書いてたりしたの?」
要一「えぇ、まぁ。遊びで書いていたものですから、内容は欠片も覚えていませんけど」
御主人「ふふっ、そっか。・・・・でも」
要一「?」
御主人「・・・あなたにとっては遊びでも、私は一生背負い続ける。」
要一「え?」
御主人「・・・・それだけだよっ!」
ナタク「たとえどれだけ変わっても。」
カムイ「たとえどれだけ止まっても。」
モユル「たとえどれだけ流れても。」
アカネ「たとえどれだけ抱えても。」
カナメ「俺たちは、いつまでも御主人の中に。」
御主人「責苦を負わせるヴァイラスが暴れる世界。
温かい温度を恐怖へと変える、私を苦しめる世界。
そんな中にあった、苦しみの世界を終わらせるための扉。
私の不安に呼応するように波を打つその扉を、勇気を以て開こう。
・・・さようなら。私は一生、背負い続ける。」
The End.
〜懐かしや 十数年の 黒歴史〜
どうも、犯人です。
自分が昔創作したキャラクター(主役)のことをふと思い出して書いてみました。
元々のキャラの性別が逆転していたり、詳細設定が省かれたりしています。
しっかし、覚えているもんだなぁ昔の設定( ゜ω ゜;)←
微妙に黒歴史が露呈しちゃってますが、よかったらどうぞ
Special Thanks: 猫虫P
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