壊れた僕らと愛情
・男女逆転は絶対にやめてください
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※BL要素と若干R指定なネタが含まれます。苦手な方は回れ右推奨。
僕が持っている一番古い記憶は、母親らしき女が何かを叫びながら僕を殴っていたこと。 暴力は嫌いだ。 受けるのも与えるのも、嫌だ。 痛いのは、大っ嫌いだ。 痛いのなんて・・・愛情じゃない。 ガチャッ。 「・・・・やぁ、アキ。」 高級な一人掛けのソファーに座っていると、部屋のドアが開かれる音がした。 空は真っ暗なのに、街はキラキラと輝いて、眠ることを知らないようだ。 大きな窓ガラスには、僕の姿を含め、部屋の内部が全体的に映っている。 もちろん、窓を見ていれば、部屋に入ってきた人物を確認することも、容易だった。 『ただいま、兄さん。』 僕の視界に直接入るように、彼は座っている僕の前に来た。 アキ、僕の弟。 優しい優しい、兄思いの弟。 けれど、僕らの外見は、その事実に相反するものだ。 僕は童顔で、身長も150cm程度。 一方でアキは、身長も高くて大人っぽい。 二人で外を歩けば、兄弟が逆転して見られるんだろう。 「今日のお客さんはどうだった？」 『ん〜、結構気持ち悪かった。化粧濃いし、香水臭いし・・・』 「クスッ、アキの嫌いなお客さんだったんだね」 『まぁ、大金積まれたから抱いてやっただけだし。』 「お風呂入ってきたの？・・・髪、少し湿ってる。」 猫のようにすり寄ってきたアキの頭をそっと撫でてあげる。 見た目は大人っぽいのに、本当はすごく甘えたがり。 僕が営んでいる出張ホストクラブの、稼ぎ頭。 とはいっても、あまり遠くへは行かない。 2日以上、僕から離れることを、アキは嫌っているから。 「ちゃんと乾かさないと、風邪引いちゃうよ？」 『あとで兄さんと一緒にお風呂入るから、大丈夫。それより・・・』 「？あぁ、そうだったね。もうそんなに稼いだんだ。」 『100万稼ぐたびに抱かせてくれる約束。兄さん・・・触っても、いい？』 「仕方ないなぁ・・・・っていうのは嘘だよ。うん、いいよ。」 僕が許可を出すと、アキはゆっくりと顔を近づけ、僕と唇を重ね合わせた。 キスだけで事が終わるはずもなく、キスをしたまま、アキは僕の身体に右手を這わせる。 血の繋がった兄弟・・・それも男同士で、こんなことをする。 僕らが互いに性的干渉を求め、許しているのは、全て過去のせい。 僕らは、昔から・・・・・欠陥品(デフェク)だ。 母親は僕を殴った。 前の男との間に出来た子供だから。 母親はアキを愛した。 新しい男との間に出来た子供だから。 扱いの違う生活で、僕は肉体的にも精神的にも傷つき、ストレスを溜めていった。 でも、思わぬところで傷ついている人もいた。 それが、弟のアキ。 『兄さん』 「なぁに？アキ」 『・・・俺は、兄さんの弟、だよ。』 「？どうしたの急に」 『俺っ、何があっても、兄さんに従うから！なんでもするから！だから・・・！』 「っ！？」 アキの、少しだけズレた家族愛に気づかされたのは、中学生の時。 生まれた年は1年しか変わらないから、互いに思春期真っ盛り。 家で二人っきりの時に僕の部屋に来たアキが、突然僕にキスをしてきた。 その表情は、今にも泣き出しそうだったのを、よく覚えている。 『俺はどこにも行かない。兄さんだけのものだ。ペットでもいい。なんでもする。』 僕を初めて抱いた日、アキは壊れた機械のように何度もそう復唱していた。 母親による僕への虐待を傍観することしかできなかった彼は、いつの間にか壊れてしまっていた。 自分の無力さを嘆いたのか、親に愛されない僕への憐みゆえか。 彼の中の何かが壊れて、僕への愛情が過大に、妙に歪んでしまった。 そんなアキを、僕は拒絶しなかった。 僕を愛してくれる唯一の人だから。 その後、金持ちのお祖父さんからの資金援助を受け、今の出張ホストクラブを経営している。 アキは僕の役に立とうと、いろんなスキルを身につけた。 精神的ストレスにより成長の止まった僕を守るために、武術を学んだ。 一度に高額の収入を得るために、金持ちやその娘を相手にするための性的交渉の技術を上げた。 全て僕のため、僕に嫌われないため、僕に従って行動する。 そして僕は、アキへのご褒美として、僕の身体を差し出している。 「っぁ・・・・ん・・・」 『兄さん・・・愛してる・・・・』 「・・・ぅぅ・・・ん・・・あっ・・・！？」 『気持ちい？兄さん』 「ん・・・うん・・・・・」 『ふふっ、兄さん、可愛い。』 すっかり服を脱がされてしまった僕を、アキの手や舌による愛撫が襲う。 小さな悲鳴を漏らせど、アキは決して愛撫を止めない。 僕に快楽を与える事が、アキにとっての快楽であり、彼を興奮させる要因らしい。 僕はアキを拒まない。 むしろ、時折僕から求めてしまうこともある。 家族としての愛情を十分に受けられなかった僕が、愛されている実感を得られる時間。 アキに触れられているこの瞬間を、僕は愛している。 『兄さん。』 僕が愛してもいい相手。 『愛してる、兄さん。』 僕を愛してくれる、たった一人の家族。 『兄さん・・・』 何度も何度も僕を呼んでくれる。 アキが僕のために起こす1つ1つの行為は、全て僕にとっての快楽になる。 「僕も、愛してるよ。アキ。」 僕は今日も、アキの愛情に溺れていく。 The End. 〜ないと思った？あとがきだよ！〜 どうも、犯人です。 つらつら書いてたらなんか、できたよね、うん。 俺、こんな短い物書けたんかい！ってなりましたわヽ(´∀｀ )ノ 今回の弟の名前ですが、アイヌ語で弟のことを「アキ」って言うんです(｀・ω・´)＋ 軽〜い読み物程度になればいいと祈ってますが、よかったらどうぞ。
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