傷ついた僕らの


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<登場人物>
椎名 有希(しいな あき):
   ツンデレ気味。強がってるけど、弱さをひた隠しにしてるだけ。
   父親世代の男性が怖い。男性の平均身長より低く、やや中世的な顔立ち。
月宵 神無(つきよい かんな):
   楽天家のように見えるが、有希の存在に安心してるだけ。身長が高い。
   有希の傍を離れるのが怖い。有希と一緒にマンションの一室に暮らしている。





※本作に登場する有希・神無は、平和と書いてカオスシリーズに登場する有希・神無とは
 全く関係ありません。別人と考えてください(特に神無)。
!━━━≡≡≡⊂´⌒⊃゜Д゜)⊃━━━ここから本編━━━⊂(゚Д゚⊂⌒`つ≡≡≡━━━!


[独白シーン]
有希『俺は、割と普通の家に生まれた。
   両親と、マンションの一室に住んでいた。
   だけど、父親がとても横暴と言うか、暴力的な人だった。
   覚えているのは、毎日聞こえてくる母親の悲鳴と、少しの赤。
   母親は、まだ小さかった俺を守るのに必死だった。
   俺にだけは被害が及ばないようにと、俺を包むようにして守ってくれた。
 でも、俺が小学校に上がる前の年ぐらいに、ついに父親の暴力が俺に降りかかった。
 痛くて痛くて、こんなに痛いモノを母親はずっと我慢してきたのかと思ったら、
 暴力を受けた痛みよりも心が痛かった。
 俺を守りきれなかった母親は、小さな俺の命だけでも守ろうと、
 台所から持ってきた包丁で、父親を刺した。
   ・・・目の前が真っ赤になったのを、よく覚えてる。
   母親は、暴力を受けた痛みで動けない俺を抱きしめて、
   泣きながら何度も「ゴメンね」と繰り返した。
   不思議と、涙は出なかった。
   そういえば、父親から暴力を受けても、俺は一度も泣かなかった。
   母親は一通り泣いた後、返り血の付いた服を着替え、
   俺の服を着替えさせて、警察に出頭した。
   自分が刺した、子供は関係ない、子供だけは助けてくれと、懇願していた。
   怪我をして動けなかったこともあって、俺も母親もすぐ病院に入れられた。
   母親は、内臓のダメージが大きいからと、集中治療室に入れられた。
   けど、もう手遅れだったらしく、間もなくして息を引き取った。
   「息子を守る」。
   それだけを糧として母親は、最後まで俺のために生きてくれたんだと思う。』

神無『俺は、少し貧しい家に生まれた。
   家族は、両親と、弟が一人。
   古めのアパートに、家族四人で暮らしていた。
   ある日、両親は俺たちを人身売買にかけた。
   幸い、すぐ警察が介入して俺たちは保護されたが、
   弟の神奈(かみな)は母親に言われた言葉で傷つき、精神的に病んでしまった。
   俺たちは病院に入れられた。
   神奈の治療のために、俺も一緒に入院することになった。
   両親とは縁を切られ、今後は施設に入れられると伝えられた。
   でも、神奈の容態は悪化の一途をたどっていた。
   時折、一人でフラフラ出歩いたり、自分の身体を傷つけたり、
   食事に手をつけなくなったりして、ついには俺のことがわからなくなってしまった。
   そして神奈は、持ち出したハサミで、屋上の網を破り、
   屋上から落ちて・・・・死んだ。』

有希『そいつを見かけたのは、母親を亡くし、リハビリを続けて、
   短時間走れるくらいに回復した頃だった。
   医者や看護婦と一緒になって慌てている様子だった。
   気になってそいつについていくと、屋上へ向かった。
   屋上の扉を開けると・・・破られた網から飛び降りる子供と、
   子供に手を伸ばすそいつがいた。
   子供は、そいつの手を掴まず、落ちてしまった。
   落ちた・・・・・・死んだ。
   それはきっと、目の前にいるそいつも悟った。
   そいつは、少しの間呆然したと思ったら、網の向こうへ行こうと走り出した。
   落ちる気だ。死ぬ気だ。すぐにわかった。
   だから俺は、そいつの方へ走り出した。』

神無『その子に遭ったのは、弟が飛び下りた直後の屋上。
   弟が死んだと悟った俺は、酷く絶望した。
   両親に捨てられ、弟を失って、何もかもを失った。
   そう確信した俺には、もう生きる意味なんてないんだと、子供ながらに思った。
   いっそのこと、弟のもとへ行こう。
   思い立った俺は、弟の飛び込んだ先へと走り出した。
   弟に会える。
   けれど、気が付くと俺は、仰向けに倒れていた。
   目の前には、頭に包帯をした、その子。
   俺と同い年ぐらいの子だった。
   その子の後ろには、青空が広がっていた。・・・・なんで?
   わけもわからずにいると、その子は怒鳴るように言った。』

有希『「お前まで死んでどうする!?」』

神無『それは、怒っているのに、今にも泣きだしそうな声だった。』



間。



[有希の通う専門学校の前。]

神無「やっほ〜、ユキちゃん☆」

有希「俺はアキだ(怒)ったく。お前、仕事は?」

神無「今日は早上がり。だから、迎えに来た!」

有希「はぁ。お前ってやつは・・・・」

神無「いいじゃん、一緒に住んでるんだし」

有希「そういう問題じゃないだろ。余計な体力使うなって。」

神無「大丈夫!体力は無駄に有り余ってるから!」

有希「身体がデカイ分な」

神無「ユキちゃんが小さいんじゃ・・・」

有希「そぉいっ!」

神無「ぐふっ!?あ、有希・・・みぞおちに右ストレートは・・・・キッツ・・・・」

有希「ほら、帰るぞ」

神無「ま、ちょっと待って、せめて回復するまで・・・・!」

有希「早くしねぇと置いてくからな〜」

神無「ま、待ってってば有希!」



間。



[帰り道。]

有希「全く。子供じゃねぇんだから、迎えなんざいらねぇっての。」

神無「俺が迎えに来たいから、来たんだって。」

有希「だぁかぁらぁ・・・・はぁ、もういいや。」

神無「お、諦めんの早いね?」

有希「歳を取ると、放置っていう手段を覚えるからな」

神無「えぇ!?放置って、それは酷い!」

有希「反論しても論破されない場合は、放置に限る」

神無「そんなぁ・・・・」

有希「そういうもんだ。いつまでも子供だと思うなよ?」

神無「うぅ・・・・・あ、そうだ有希。今日の学校、どうだった?」

有希「あ?まぁ、いつも通りってとこかな。カウンセリング演習がメインだった」

神無「カウンセリングかぁ。」

有希「保育福祉だからな。支援対象は、保護者とその子供。
   障害を持った子供だったりすると、保護者からの説明とか、
   子供との意思疎通とか、結構大事だし」

神無「有希、ホント難しいことやってんだね」

有希「そうか?」

神無「俺は確かに子供好きだけどさ。それだけじゃダメなんだな〜って実感するよ。」

有希「それは、専門学校入った時に俺も感じたよ。でも、俺がやりたいことだから、な。」

神無「・・・俺たちみたいな子供を、もう出したくないもんね。」

有希「あぁ。・・・・って、何他人(ひと)の髪いじってんだよ?」

神無「ん、もう有希の傷跡も消えてるな〜って。初めて会った時、頭に包帯してたから」

有希「アホ、何年前の話してんだよ(笑)」

神無「これでも心配してたんだからね!?あの後、実は傷口開いてました〜って・・・」

有希「あー・・・たぶん、お前を捕まえて転んだ衝撃だろうな、あれは。」

神無「俺のせいで、せっかく治りかけてた傷が・・・」

有希「もう治ってんだからいいだろ。それに、頭のは大した傷じゃなかったし」

神無「でも・・・」

有希「・・・そりゃあ、あん時は虐待受けて入院したから、
   あっちこっち包帯とガーゼで覆われてたけど、
   今はもうちゃんと治って、こうして生きてる。
   トラウマはちょっと残ってるけど、それさえ気をつけりゃ普通の生活ができる。
   神無が責任感じることは、なぁんにもねぇんだよ。」

神無「有希・・・うん、そういうことにしとく!」

有希「あぁ。」

神無「♪〜♪〜・・・・あ」

有希「どした?」

神無「今日・・・・そっか、もう・・・・」

有希「?・・・あぁ、今日は・・・」

神無「やっば、すっかり忘れてた」

有希「忙しかったもんな、俺も神無も」

神無「そうだね。有希は専門学校、俺は仕事。ある意味充実してて、全然気づかなかった。」

有希「怒られる前に、行くか。」

神無「うん!」



間。



[神奈の墓前。神無が墓前にしゃがみ、手を合わせる。その後ろで有希も手を合わせる。]

有希「もう、14年、か。」

神無「そうだね。なんか、過ぎてみればあっという間だね、時間って。」

有希「・・・俺たちが出逢って、もうそんなに経つんだな。」

神無「・・・・・(お墓の前で立ち上がる)よいしょ、っと。またね、神奈。」

有希「次はお盆だな、墓参り」

神無「うん。その時は、有希のお母さんにも挨拶しなきゃ!」

有希「あぁ。」

神無「さってと。神奈の墓参りもしたし、帰る?」

有希「・・・寄り道、してく。」

神無「ん?寄り道って、どこに?」

有希「別について来なくていいぞ?」

神無「やだ。どうせ俺が先に帰っても、鍵持ってないから入れないし」

有希「忘れたのかよ!?」

神無「ちょっとうっかりしてただけだって!・・・それに、一緒に帰りたいし。」

有希「・・・はいはい。わぁったよ。」



間。



[街外れの高い丘。街が一望できる場所。]

神無「・・・・ここ?」

有希「あぁ。」

神無「へぇ〜、こんな場所、あったんだ。」

有希「ここからなら、全部見えるから。気に入ってんだ、ここ。」

神無「全部って?」

有希「・・・アレが、昔俺が住んでたマンション。
   あそこが、母親が駆け込んだ警察署。
   あっちにあんのが、俺と神無が出逢った病院。
   んで、あそこにあるのが、今俺たちが住んでるマンション。」

神無「あ・・・・・」

有希「今も昔も、ここから見えるんだ。考え事とかするのに、よく来るんだよ。」

神無「・・・もしかして、昔のこと、考える?」

有希「いや、違う。どっちかっていうと、今のこと。」

神無「え?」

有希「俺、結局は弱いままだ。昔からあんまり変わってない。
   表向きは強がっていても、心ん中じゃすっげぇビビってて、恐くて、怖くて。
   今だって、神無が傍にいるから、何とか生きていける。
   一人じゃ、不安で仕方ないんだ。
   いつかは嫌でも離れる時が来るってわかってるのに、
   どんなに一人で頑張ろうとしても、結局は頼ってる。
   俺がトラウマでパニックになったら、
   いつでも神無が助けてくれるって、安心してる。
   自分でどうにかできるって、思えないんだ。まだ、やっぱり、恐くて・・・・」

神無「有希・・・まだ、大人の男の人、怖い?」

有希「うん。すっげぇ怖い。今でこそ、話すだけなら平気になったけど。」

神無「触られるのが、ダメ?」

有希「完全にダメ。すぐパニックになる。落ち着くまで30分以上かかる。握手もダメ。」

神無「あはは・・・・・そっか。」

有希「神無がいれば、もっと早く治まるけどな。一人だと、下手すりゃ悪化する。」

神無「そうなの?」

有希「あぁ。・・・神無の声聞いたり、神無に触れてもらったりしたら、安心できる。」

神無「有希・・・・・」

有希「ゴメンな。気持ち悪いよな。俺もお前も男なのに、こんなこと・・・」

神無「そんなこと!・・・むしろ、俺の方が気持ち悪がられると思うし・・・・たぶん。」

有希「なんで?」

神無「っ・・・・俺、さ。
   昔は、両親に捨てられたショックもあって、神奈ほどじゃないけど、
   それなりに不安定だったんだ、精神的に。
   んで、唯一の心の拠り所ってのが、弟の神奈だったんだ。
   だから、神奈がいなくなった時、生きる意味を失った気がして、死のうと思って。
   でも、有希が止めてくれた。
   有希が止めてくれたから、俺・・・・・生きていられた。
   それから有希と同じ病室にしてもらって、
   毎日会えるようになって、すごく嬉しかった。
   気づいたら俺、有希と一緒にいなきゃダメだって、思ってた。
   有希から離れられなくなってた!お別れが、怖かった。
   ・・・俺、有希に依存してる。
   なんていうか、有希を失うのが怖い・・・いいや、それでも足りない。
   何か、そんな言葉じゃ、表現し足りない・・・・」

有希「神無・・・?」

神無「・・・俺、ずっと有希と一緒がいい、離れたくない、手放したくない。
   なんだろう、この気持ち・・・・・」

有希「・・・・・・それって、『好き』ってことか?」

神無「え?」

有希「ず〜っと、死ぬまで一緒にいたいんだろ?」

神無「う、うん・・・」

有希「それって、相手の事、特別に『好き』じゃなきゃ、思わないと思う。」

神無「!」

有希「・・・・・。」

神無「俺・・・有希のこと・・・・好き、なのかな・・・?」

有希「・・・・知るかっ。」

神無「・・・同性相手に、恋愛的に、好きって感情、抱いてるのかな?」

有希「俺に聞くな。」

神無「有希は、嫌悪感とか無いの?男に好きになられて」

有希「・・・・・・神無じゃなかったら、嫌悪感あったかもな。」

神無「えっ?」

有希「っ、あ、あの、その、ええっと、だな・・・・・」

神無「あ、き・・・?」

有希「〜〜〜〜〜、俺はっ、その・・・・はぁ。
   俺も、依存してるのは、同じだから。」

神無「?」

有希「俺だって、神無に依存してる。
   それに、できることなら神無から離れたくないし、一緒にいたいって思ってる。
   でも、お前に好きな人とかできたら、離れなきゃならないし、だから・・・」

神無「有希・・・・・俺も、そう思ってた。
  いつか有希に好きな人ができたらって・・・
  そう考えたら、こんなこと、言えなくて・・・・」

有希「神無・・・」

神無「・・・有希。俺、有希が好きだよ。
   気持ち悪いとか思われても、俺は有希が好き!」

有希「っ・・・・お前、よくそんな恥ずかしい事、言えるな・・・・」

神無「有希は?」

有希「え?」

神無「有希は、俺の事・・・どう、思ってるの?」

有希「・・・・・・・(深呼吸)俺も、神無が好き。ずっと、一緒にいたい。」

神無「!」

有希「・・・っ、ちくしょっ、超絶ハズい・・・・!!!」

神無「有希!!!」

有希「のわっ!?いいい、いきなり飛びついてくんな!!!」

神無「有希っ、有希っ!好き、大好きだよぉ・・・!」

有希「引っ付くなっての、ったく!・・・・・しょうがねぇ奴。」

神無「ねぇ、有希」

有希「あ?」

神無「その・・・・・キスしても、いい?」

有希「なっ、は、はぁ!?」

神無「やっぱダメ?」

有希「おまっ、いきなりなんつー恥ずかしいことを・・・・・!」

神無「なんか、自分が有希のこと好きだったんだなぁ〜って気づいたら、その・・・」

有希「したくなったってか」

神無「えへ♪」

有希「死ね」

神無「えぇぇぇぇ!?」

有希「・・・・・冗談だ。はぁ、やれやれ。」

神無「ねぇ有希〜」

有希「聞くな。」

神無「え?」

有希「・・・・・そういうこと、聞くなアホ。」

神無「そういうこと、って?」

有希「っ、だぁからっ!『キスしていい』かどうかなんて聞くなっつってんだよ!」

神無「!?」

有希「・・・・・したけりゃ、勝手にしやがれ。このアホ。」

神無「!・・・うん。じゃあ、勝手にする。」


有希『そういうと、神無は俺にキスをしてきた。
   俺が神無を拒む理由なんてなくて、ただそっと、目を瞑った。
   ずぅっと一緒なんだって、そう確信したら、とても安心できた。』

神無『触れたことのない場所に触れた。とても暖かかった。
   今まで有希に触れてきた中で、一番幸せだって思えた。
   俺にとっての、命の恩人。
   今は、大好きな人。』

有希『ありがとう、生きていてくれて。』

神無『ありがとう、一緒にいてくれて。』

有希『好きだよ、神無。』

神無『大好き、有希!』



End.





〜何がどうしてもこうなりました〜
どうも、犯人です。
BL書きたい!最近平和(カオス)すぎて俺でも少しは綺麗な台本が書けるんだぜってアピ(ry
そして、使い回しの名前なんですが、キャラ発案時の有希と神無は、共依存関係ですた。
それがどうしてかこうしてか( 」・ω・)」うー!( /・ω・)/にゃー!したら平和に(笑)
なので、平和の彼らとこちらの彼らは全くの別人でございますので、悪しからず。
俺だって頑張ったのよとアピールしてる犯人の台本ですが、よかったらどうぞ。
		






   
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