生きていて、よかった。


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<登場人物>
咲(さき)♀:主人公的な何か。リアクションは基本的に薄い。生死に執着がない。
流師(るし)♂:咲の許婚。距離を置かれているが、咲をとても大切に思っている。
ルシファー♂:死神代行の堕天使さん。流師にそっくり。咲の処遇を決めに来た。
アイン♀:ルシファーのお供その1。ルシファーに気に入ってもらおうとアピールしてる。
ツヴァイ♂:ルシファーのお供その2。アインとドライの止め役。正直しんどい。
ドライ♂:ルシファーのお供その3。アインとルシファーを取り合っている。たぶんショタ。





※「」:通常セリフ /【】:語り
!━━━≡≡≡⊂´⌒⊃゜Д゜)⊃━━━ここから本編━━━⊂(゚Д゚⊂⌒`つ≡≡≡━━━!

咲【生きていることは、辛いこと。
   死ぬことは、面倒なこと。
   どっちにしろ、生きていなきゃ、できないこと。】



咲「ん・・・っ・・・・」

ルシファー「おい、起きろ」

咲「ん〜?・・・・うわっ」

ルシファー「反応の薄い奴だな。俺を見てそんなに驚かない奴は、お前が初めてだ。」

咲「・・・えっと、真っ黒な翼の生えた・・・流師、さん?」

ルシファー「流師?・・・あぁ、お前の許婚とやらか。残念だが、そいつとは別人だ。」

咲「うわー、そっくり」

ルシファー「・・・俺はルシファー。お前を生かすか殺すか、その魂を見定めに来た。」

咲「え?い、生かすか殺すか?・・・・・ってあれ〜・・・・」

ルシファー「お前・・・どこまで反応の薄いやつなんだ?」

咲「体が透けてる〜。私が寝てる〜。今の私は宙に浮いてる〜。」

ルシファー「はぁ、緊張感のないやつだ。いいか?今お前は死にかけているんだ」

咲「え」

ルシファー「覚えてないのか?
   お前、許婚の従妹に腕刺されて、逃げようとしたら頭部を鈍器で殴られて。
   幸い発見が早かったから見ての通りベッドに寝ているが、今も危険な状態だ。」

咲「あ〜・・・あれは痛かったなぁ。逆恨みも甚だしい。」

ルシファー「あの通り、生死の境を彷徨っている。
   お前は生きることに固執していない上、死にたがってもいない。
   冥界は、お前の処遇に困っているんだ。
   本来なら死神の務めなんだが、生憎手が空いてなかったもんで、
   俺が代行で来たわけだ。」

咲「・・・・・・えぇ〜・・・・・」

ルシファー「っ、お前、自分の立場がわかってるのか!?死ぬかもしれないんだぞ!?」

咲「・・・まぁ、そうですね。」

ルシファー「・・・・・本当に、生きることに執着心がないな。」

咲「えっと、ルシファーさん?は、私を生かしたいんですか?」

ルシファー「お前は罪人じゃない。
   本来は、死神が魂を狩りに来るべき人間ではないんだ。」

咲「だから、殺す必要はないと?」

ルシファー「少なくとも、俺はそう思っている。」

咲「そうですか。」

アイン「ルシファー様ぁ!こんな女、早く連れてっちゃいましょうよ〜!」

咲「のわっ、露出魔」

アイン「誰が露出魔よ!私にはアインっていう名前があるの!」

咲「アイン・・・・志村、的な?」

アイン「ちっがぁう!勝手に人間のお笑いのネタにしないで!」

ツヴァイ「おい、アイン。お前出しゃばりすぎ。頼むから自重しといてくれ。」

アイン「だって!この女が怠けてるから、ルシファー様の手を煩わせてるんじゃない!」

ツヴァイ「俺の手も煩わせないでほしいんだがな。正直しんどい」

ドライ「そうだよアイン。まだお話の途中だったんだから。ね、ルシファー様?」

咲「・・・なんか、3匹も出てきた」

ドライ「3匹!?僕ら、ちゃんと人に似た姿取ってるのに!?」

咲「あ、やっぱ人間じゃないよね。翼生えちゃってるもんね」

ツヴァイ「人間じゃなければ単位が変わるんですか」

咲「当然」

アイン「こんのぉ・・・・・!」

ルシファー「・・・お前ら、論点を外し過ぎだ。今は黙ってろ」

アイン「ひっ!?ご、ごめんなさい、ルシファー様・・・・」

ドライ「アイン怒られた〜」

アイン「うるさい!ドライばっかりルシファー様に色目使って!」

ツヴァイ「お前ら、お口にチャック。もういちいち止めるのマジしんどい」

アイン「むぐごご・・・」

ドライ「ふごぉ・・・・」

ルシファー「・・・・・すまないな、時間を取らせた。」

咲「いえいえ。えっと、私の処遇について、でしたっけ?」

ルシファー「あぁ。話が早くて助かる。」

咲「生きるか死ぬか、私が選ばなきゃいけないんですか?」

ルシファー「お前が本当に望んでいるのはどちらなのか、それを確かめに来たんだ。」

咲「ん〜・・・・特には。」

ルシファー「・・・じゃあ、お前はあの世界に、なんの未練もないのか?」

咲「未練?・・・・・・・思いつきません。」

アイン「ほら!聞くだけ無駄ですってばルシファーさmむぐぐぐぐ・・・・」

ツヴァイ「マジで黙っとけ。今度口挟んだら首輪とロープ繋ぐからな」

ルシファー「本当に、ないのか?」

咲「・・・・・生きてるの、面倒だったし。かといって、死ぬのも面倒だったし。」

ルシファー「なぜ、どちらも面倒に思っていた?」

咲「生きていれば、親の言うとおりに従って、
   毎日似たようなサイクルを繰り返して、変化の少ない日常を延々と続けているだけ。
   勝手に許婚なんて作られちゃうし?許婚の従妹に恨まれちゃうし。
   どんなに勉強ができたって、運動ができたって、家事ができたって、
   変化を感じられないから、つまらなかった。」

ルシファー「お前が望んでいたのは、変化、なのか?」

咲「・・・・たぶん、そう。」

ツヴァイ「・・・いいや、違うな」

咲「お?」

ドライ「あ、ツヴァイが口挟んだ」

アイン「んー!んー!」

ツヴァイ「あなたが望んでいたのは、変化じゃない。別に変らなくてもよかった。」

咲「・・・・・。」

ツヴァイ「でも、あなたは何かを望んでいた。別の、もっと別の何かを。」

咲「・・・私が、望んでいた・・・・・?」

ツヴァイ「・・・・正直しんどいんで、ルシファー様、パス」

ルシファー「っておい、途中で投げ出すな」

ツヴァイ「アインの口封じしながらだとしんどいんですよ〜」

ルシファー「はぁ。・・・咲。」

咲「あ、名前知ってたんですか」

ルシファー「そりゃあな。」

咲「おぉ〜」

ルシファー「お前、本当に気づいていないのか?お前の本当の望みに。」

咲「望みなんて、今まで持ったこと・・・・まぁ、あるっちゃあるでしょうけど・・・」

ルシファー「最初にお前は、俺をなんと呼んだ?」

咲「んえ?」

ルシファー「誰と間違えた?」

咲「あー、許婚の流師さん」

ルシファー「その流師という男は、お前にとってなんだ?」

咲「何って、許婚」

ルシファー「そうじゃない。言葉で表せる関係を聞いてるんじゃない。」

咲「?」

ドライ「ルシファー様は、咲が流師って人のことをどう思ってるのか聞いてるんだよ」

咲「うわっ、子供のくせに呼び捨てとか」

ドライ「これでも君より10倍は生きてるmふごごご・・・・」

ツヴァイ「は〜い、もう言いたいこと言っただろう?お口にチャックしようね〜」

ドライ「ふごー!」

ルシファー「・・・咲。お前は流師をどういう風に見ている?」

咲「どういう風って言われても・・・・・
   3つ年上で、すんごいお金持ちの家の御曹司で、
   大学を卒業したら、お父さんの会社に入れてもらえる約束されてて、
   それくらいとっても優秀な人で、高身長でスタイル良くて超絶美形で、
   食べ物の好き嫌いがなくて、よく私の高校に迎えに来てくれたり、して・・・」

ルシファー「・・・それから?」

咲「・・・誰にでも・・・親切で・・・人気者で・・・・・だから、きっと彼女とか」

ルシファー「交際相手がいると、本人に聞いたのか?それとも、噂か?」

咲「ううん、私の推論。あれだけカッコいい人だもん、彼女の一人や二人くらい・・・」

ルシファー「本人に確認してもいないのに、そう決めつけているのか?」

咲「あ・・・・」

アイン「・・・やぁっと気づいたみたいね。」

ツヴァイ「仕方ないさ。確認することすら諦めてたんだから。」

ドライ「探せばあるもんだね。人の未練ってやつ」

咲「私は・・・流師さんに・・・・・?」

ルシファー「許婚という言葉だけの関係を続けていたようだが・・・違うんだろう?」

アイン「本当は好きなんでしょう?心の底から」

ツヴァイ「けれど、自分にはもったいないとか、レベルが合わないとか思ってしまった」

ドライ「子供の自分なんて、どうとも思われてないだろう」

ルシファー「どうせ突き放されるなら、いっそ自分から距離を置いておこう」

アイン「そう考えては、その人の優しさに甘えていた」

咲「・・・わざわざ学校帰りに迎えに来てくれるのも、ただの親切・・・」

ツヴァイ「自分に好意を抱いているのでは、と期待したことは?」

咲「あったと、思う。でも、そんなの・・・・」

ドライ「嘘だと思った?偽りや幻想、自分の妄想でしかないって?」

ルシファー「確かめもしないのにお前は、自分を押さえつけていたんだな。」

咲「・・・・・私は・・・・・」

ルシファー「さぁ、決めろ。お前が心に答えを持てば、結果が目の前に現れる。」

咲「・・・私は・・・・私は・・・・・!」

流師「咲!」


―咲が目を覚ます。目の前には流師。―


咲「!?・・・・・・・る、し・・・・ふぁ・・・」

流師「咲、俺だ、流師だ。・・・わかるか?」

咲「あ・・・・流師、さん?」

流師「っ・・・よかった・・・よかった・・・・・咲・・・・・!」

咲「・・・なん、で・・・泣いて・・・・」

流師「当たり前だろう!愛する人が、目の前で・・・血まみれで・・・・倒れて・・・・!」

咲「・・・・・そんなの、私なんて・・・・」

流師「ずっと・・・怖かった。咲が死んでしまうなんて・・・嫌だ・・・・・」

咲「流師、さん?」

流師「大丈夫、ずっと傍にいるから。
   もう、誰にも傷付けさせない・・・愛してる、咲。」

咲「・・・・・・じゃあ」

流師「?」

咲「私、大学行かないんで・・・・流師さんが、大学卒業したら、ずっと、一緒ですか?」

流師「!・・・あぁ。絶対に離れないように、この指に枷でも嵌めてやろうか。」

咲「クスッ、流師さんって、思ってたより、独占欲旺盛、だったんだ。」

流師「気づかなかったのか?咲以外の女なんて、目にも入らなかったのに」

咲「・・・ぅん・・・・全然、気づかなかった・・・・・っ・・・・」

流師「咲!?どこか痛いのか!?待ってろ、すぐに先生を呼んでくる!」

咲「っ・・・・ぅ・・・生きて・・・よかっ、た・・・・っ・・・!」



間。



ドライ「ハッピーエンディング、ですね〜。」

ツヴァイ「これでよかったんじゃない?咲にとっては」

アイン「あーもう!どいつもこいつもいい雰囲気になっちゃって!むかつく〜!」

ツヴァイ「結局、魂を狩り取らずに終わっちゃいましたけど、いいんですかね?」

ルシファー「今回の俺の仕事は、あくまで死神代行だ。必ず取ってこいとは言われてない」

ツヴァイ「ま、そうですよね。ぶっちゃけ絶対に〜とか言われたら、正直しんどいですし」

アイン「ルシファー様ぁ〜♪お仕事も終わったことですし、この後は私と〜・・・」

ドライ「ダメだよ。帰ったらまたお仕事あるんだから」

アイン「ちょっとドライ!さりげなくルシファー様に抱き着かないでよ!そこ私の場所!」

ツヴァイ「お前ら・・・いい加減にしろ。引きはがすのとかマジでしんどいんだから」

ルシファー「・・・・人間、か。悪くなかったな、あの女。
   いっそのこと、正体を隠してその心を奪えたなら、俺は・・・・」

アイン「ルシファー様ぁ〜、早くいきましょ〜!」

ルシファー「・・・フッ、もう終わった話だな。」

ツヴァイ「?何を考えていらっしゃったんです?」

ルシファー「所詮戯言だ。とっとと帰るぞ」

ツヴァイ「はぁ〜い」


咲「生きるのが面倒だった理由。
   それは、自分の思いなんて、愛しいその人には届かないのだろうという、
   勝手な推論による失望を感じていたから。
   死ぬのが面倒だった理由。
   それは、愛しいその人の、親切心による涙を、見たくなかったから。
   もう、そんな心配は要らない。
   ちゃんと、わかったから。
   生きていて、本当に良かった。」



The End.





〜お約束の言い訳ですぅ(↑)〜
どうも、犯人です。
これでもいつもの半分の文章量で済んだんだからねっ!
ところどころわかりにくい表記なのはもう・・・・・ね?←
不明瞭な点があればどうぞ作者に問い合わせてください、喜んで答えます。
ベタベタな台本(笑)ですが、よかったらどうぞ。
		






   
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