双子神子
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<登場人物>
純(じゅん):
綸の双子の兄。クールで優しい青年で、やや大人びいている。綸とは相思相愛。
綸(りん):
純の双子の妹。気の弱い少女で、やや幼い。純とは相思相愛。
!━━━≡≡≡⊂´⌒⊃゜Д゜)⊃━━━ここから本編━━━⊂(゚Д゚⊂⌒`つ≡≡≡━━━!
純【俺たちが生まれたのは、古い仕来りを守り続ける血筋の中。】
綸【双子の男女が生まれると、男を純、女を綸と名付け、屋敷を出ることを禁じられた。】
純【それは、幸せのための不仕合せ。】
綸【『生まれし子らが対の男女なれば、命尽きるまで籠の中。』】
純【『一度(ひとたび)も、外へ放つことなかれ。』】
綸【『それは番(つがい)の蝶のように、二度と籠へは戻らぬだろう。』】
純【『我らに幸(さち)をもたらす双子神子(ふたごみこ)、決して放すことの無きように。』】
綸【私たちが生まれてからずっと、家は籠で、仕来りは錠前だった。】
間。
[大きな日本家屋。綸が縁側で月を見上げている。]
純「綸。」
綸「!・・・純。」
純「眠れない?」
綸「うん。月が、眩しくて。」
純「今日は十五夜、今宵は満月。部屋に差し込む月明かりは、本当に眩しい。」
綸「・・・・・。」
純「綸?」
綸「私たちが生まれてから、月は何度、満ちては欠けたんだろう。」
純「フッ、そうだね。少し面倒な計算をすれば、答えは導き出せるかもしれない。」
綸「計算が面倒になってしまうくらい、私たちは籠の中にいるんだね。」
純「あぁ。」
綸「・・・ねぇ、純は・・・」
純「(食い気味に)俺は、綸と一緒だよ。」
綸「!」
純「考えてること、思ってること、やりたいこと。全部、綸と同じ。」
綸「・・・・・うん。」
純「外、出たいね。」
綸「うん。」
純「いっそのこと、出てしまおうか」
綸「いいの?」
純「幸い、今日は十五夜の宴があったから、大人たちは皆酔いつぶれてる。
俺と綸が逃げ出すなんて、誰も考えてないよ。」
綸「・・・私、外に出たい。」
純「うん。じゃあ、行こうか。」
綸「うん・・・!」
間。
純【屋敷の外には、たくさんのものが広がっていた。】
綸【遠くに見える街の明かり、少しだけ冷たい夜風、慣れないコンクリートの道。】
純【見える、触れる、感じられる全てのものを、俺と綸は共有した。】
綸【いつも一緒、性別や成長による違い以外に、同じじゃないものなんてなかった。】
純【それは番の蝶のように。】
綸【欠けてはならない羽のように。】
純【ずっと二人で。】
綸【いつまでもそうしていたかった。】
間。
[街を見渡せる丘の上。一本だけ立つ木の前で、純と綸が抱き合っている。]
純「俺たちは、仕来りを破って外へ出た。」
綸「見つかったら、きっと怒られてしまう。」
純「それだけじゃ済まされないと思う。」
綸「・・・どうなってしまうの?」
純「綸と、離れ離れになる。」
綸「!?」
純「二人でいるから、外へ行ってしまう。
左と右、二つの羽が揃っているから、空を飛べる。
俺たちは、空を舞う蝶と同じなんだ。」
綸「羽を、もがれてしまうの?」
純「大人たちはきっと、そうするだろう。」
綸「・・・・・嫌。」
純「うん。俺も、綸を失いたくない。」
綸「ずっと、ずっと一緒だったのに。」
純「だったらいっそ、このまま・・・・・」
綸「離れてしまうくらいなら、共に土へと還りましょう。」
純「綸と一緒なら、何も恐れるものはない。」
綸「純と一緒なら、何も怖いことなんてない。」
純「来世でもまた、番(つが)う蝶の羽となれますように。」
綸「時を経て、またあなたと巡り会えることを。」
純「では、しばしの別れと眠りを。」
綸「はい。・・・・・然様(さよう)なら。」
純【幾人の純が、その刃を握ったのだろうか。】
綸【幾人の綸が、その刃を受けたのだろうか。】
純【仕来りの外へ出た双子神子は、俺たちと同じようにしただろうか。】
綸【二人で共に土へ還ったならば、来世では巡り会えただろうか。】
純【血の池に眠る双子神子は。】
綸【幸せそうに、手を繋いでいた。】
The End.
〜おおう・・・〜
どうも、犯人です。
シリアスを書いてみようと思い立ったが矢先、すっげぇ重い話になった(((( ゜Д゜;))))
すんご〜く静かで悲しくて重くて辛くて解釈すんの大変そうだなぁ・・・(白目)
ちなみに双子の名前ですが、両方とも「いと」と読めるってのは、昔の設定を引っぱ(ry
短編ばっかで長編を全然書いてないんですが、よかったらどうぞ。
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