Arc Jihad(アークジハード) -告げられるは復讐の兆し-


・男女逆転は絶対にやめてください
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・少しでも疑問があれば利用規約を読んで、それでも分からないなら問い合わせください



<登場人物>
[ゼラフィーネ・フォン・シュヴァイツァー(フィーネ)]♀
表記:Seraphine von Schweizer
年齢:19
詳細:騎士の家に生まれた才色兼備の女騎士。
   冷静かつ気丈で、あまり感情を表に出さない。
   魔剣側の教団に所属しておらず、担い手を配下扱いにしている。

[シグルズ]♂
表記:Sigurd
年齢:(外見)20代半ば
詳細:魔剣『ダーインスレイヴ』の担い手で、フィーネの契約者。
   狂信的なまでにフィーネを気に入っており、常に状況を楽しんでいる。
   軽い表現をしても、どこか陶酔しているような、重みや含みのある言い方をする。
魔剣の能力:永遠に癒せない傷を与える(代償:剣が血を浴びるまで鞘に納まらない)
  ※鞘の能力=全ての聖剣・魔剣が持つ能力による事象を鎮静化・解除する

[ノエル・シルヴェール]♂
表記:Noel Silver
年齢:15
詳細:シルヴェール家の正統後継者で、あどけないパティシエの少年。
   年齢の割には背が低い上に身体の線が細く、いつもゴスロリ服を着ている。
   綺麗でカッコいい人が好き。

[マーナガルム(マナ)]♂
表記:Managarmr
年齢:(外見)20代半ば
詳細:魔楯『スヴェル』の担い手で、ノエルの契約者。
   北欧神話における最強の狼「マーナガルム」の人格をインストールしている人間。
   ノエルの兄であるかのように世話を焼いているが、戦闘になると好戦的になる。
魔剣の能力:太陽と月に帰属する武器の力を封じる(代償:対象は2人まで)
   氷を生成し、操る(代償:氷を生成する際、呼吸を止める必要がある)

[ツジノ ショウゾウ]♂
表記:辻埜 匠造
年齢:64
詳細:『ミスティオン』に投資している資産家。
   冗談の通じる明るい老紳士で、聖剣と魔剣の戦いについても知っている。
   旧友の孫であるフィーネのことを気にかけている。




!━━━≡≡≡⊂´⌒⊃゜Д゜)⊃━━━ここから本編━━━⊂(゚Д゚⊂⌒`つ≡≡≡━━━!



[日本にあるシュヴァイツァー邸。厨房でノエルがお菓子を作っている。]

シグルズM「穏やかに過ごしていたある日の事。
   聖剣の襲来も、ミスティオンからの呼び出しもなかった俺たちは、
   一時の平和を噛みしめていた。」

ノエル「♪〜♪〜♪〜」

マナ「お、美味そうなの作ってんな!」

ノエル「あ!つまんじゃダメだよマナ!これはお客さんに出すの!」

シグルズ「客?誰か来るのか?」

ノエル「フィーネさんのおじいさんの、お友達さんだって。」

マナ「随分急だな。てか、いつもならフィーネから出向いてたのに」

シグルズ「大事なお話なんじゃない?前もってノエルにお菓子を用意させるぐらいだし」

マナ「そういやお前、フィーネの傍にいなくていいのか?」

シグルズ「クスッ、あんまりベタベタしてると怒られるんだよ。
   はぁ〜あ、せっかくヘタレ執事が出かけてるから、
   思う存分イチャイチャできるはずだったのに。」

フィーネ「戯言をほざいている暇があるなら、出迎えの準備をしなさい。客人よ。」

ノエル「フィーネさん!」

シグルズ「う゛っ・・・」

マナ「お偉いさんか?」

フィーネ「えぇ。日本の資産家よ。
   お祖父(じい)様の旧友で、シュヴァイツァーとは半世紀前から交流があった。」

マナ「お〜、それはまた随分長い付き合いだな。」

フィーネ「もっとも、私とはそこまで長くないけれど。
   お祖父様を良く知っている人だから。」

ノエル「もうちょっとでお菓子できるよ!お茶も入れる?」

フィーネ「えぇ、お願い。」

シグルズM「その時、遠くから車の音が聞こえてきた。
   少し低いエンジン音と、軽いブレーキ音、ドアが開閉する音。
   スッと動いたフィーネの背中を、俺は静かに追いかける。
   正面の扉を開いた先には、杖を持った老紳士が歩いてきていた。」

匠造「やぁお嬢さん!すっかり麗しい淑女になられましたな!ハッハッハ!」

フィーネ「お久しぶりです、匠造さん。そちらもお変わりないようで。」

匠造「いやいや、歳(とし)には勝てませんよ。この通り、杖がないと不安で不安で。」

フィーネ「その割にはとてもお元気そうですが?」

匠造「そりゃあもう!こんなに綺麗なお嬢さんに逢えるんですから、
   ただただ老いぼれてなんぞいられませんよ!ハッハッハッハッハ!」

シグルズM「あ〜、俺の嫌いなタイプの人間だった。
   一応覚えてる、確か名前は・・・・・そう、辻埜 匠造。
   堅物なバジルが友人と紹介する程度の男だ、珍しいから覚えてた。
   何が不安だよ、杖持ってるだけで地面につけてねぇし、足元しっかりしてやがる。」

ノエル「フィーネさん!お菓子できたよ!あ、お客さん」

匠造「おや、これは可愛らしい従業員さんで。」

フィーネ「パティシエのノエル・シルヴェールです。
   フランスの、パティシエの名家の一人息子を雇いました。」

匠造「ほう!それはそれは・・・・・ん?一人息子?」

シグルズ「ノエルは男の子だよ。フリッフリの服着てるから、女の子に見えるだろうけど」

ノエル「えへへ〜、可愛いでしょ〜♪」

匠造「なんと!可憐な少女と見紛(みまご)うほどのパティシエとは!」

マナ「・・・フィーネ、このおっさん危なくねぇか!?テンション的な意味で!」

フィーネ「そう?」

匠造「ほ〜ら、お土産のヨモギ餅だぞ〜」

ノエル「わ〜!見てみてマナ!深緑色(ふかみどりいろ)のお菓子だよ!」

フィーネ「・・・あなたの契約者は、危機感の欠片も感じていないようだけど?」

マナ「あ、あぁ、ソウダナ・・・・・はぁ。」



間。



[シュヴァイツァー邸・応接室。フィーネと匠造が対面するようにソファーに座っている。]

匠造「いやぁ〜、本場のパティシエのお菓子はやはり違いますなぁ!」

ノエル「えへへ、褒めてもらっちゃった!」

匠造「彼のような優秀なパティシエがいるとなると、
   紅茶とともに出されるお菓子にも飽きが来ないでしょう。
   ウチにも一人ほしいくらいだ!」

マナ「教育に悪そうな予感しかしねぇから、全力でお断りシマス」

シグルズM【穏やかで賑やかなお茶会、それで済めばどれだけよかったことか。
   来たるべき時をこのおっさんが運んでくるとは、想像もしていなかった。】

匠造「おおっと、お菓子に舌鼓ばかり打っていられませんな。
   少々慌てるべき事態だったのを忘れるところだった。」

ノエル「慌てる?そんなふうには見えなかったけど」

匠造「気の持ちようだよ。・・・少しでも平然を装いたい事案でしてね。」

マナ「・・・・・・身内が死んだか?」

ノエル「ちょ、マナ!?いくらなんでも失礼でしょ!」

シグルズ「(さえぎるように)いいや、俺たちには大事なことだよノエル。」

ノエル「え?シグルズ、たち?」

マナ「このおっさんから聖剣のにおいがする。けど、おっさんは適合者じゃねぇな。
   ってこたぁ、少なくとも知り合いの誰かが聖剣の契約者ってことだ。」

シグルズ「バジルと交流があったんだ、俺たちのことも十分理解している。
   聖剣と魔剣の戦いに携わる者が平常心を保っていられない事態、すなわち、
   関係者の死亡ってのが一番合点がいきやすい。」

匠造「はぁ。話の早い担い手たちだ。長話になりやすい年寄りには助かるよ。」

シグルズM「マナと俺に指摘されたおっさんは、
   カバンから書類の入った大きな封筒を取り出し、フィーネへ差し出した。
   いつの間にか、おっさんの顔は陽気な笑顔から真剣な表情に変わっていた。」

匠造「あまり公にはしていないんだが、私は『ミスティオン』に投資しております。
   ゆえに、ある程度『ミスティオン』の内情も把握している。
   私の知人の息子が先日、負傷して帰ってきましてね。
   心身ともに衰弱していたもので、我々、そしてあなたへの報告が遅れてしまった。」

フィーネ「私へ、ですか?」

マナ「フィーネに報告しなきゃいけねぇ案件なんてあったか?」

ノエル「まだ日本の『ミスティオン』の人とは、僕としか接触してないはずだよ?」

フィーネ「・・・・・!まさか、ジェイク・アクランド?」

シグルズ「げっ、あのセクハラおやじか!」

ノエル「ジェイク?セクハラ?」

マナ「俺らが知らねぇってことは、ドイツにいた時に戦ったやつだろ。」

フィーネ「えぇ。『ミスティオン』への敵意がないことを伝えるために接触した契約者。
   私を指名して報告するような人は彼だけ。」

匠造「確かに彼は、『ミスティオン』の関東支部に来ていましたよ。
   しかし、負傷者は彼じゃない。」

マナ「じゃあ誰が負傷して・・・」

シグルズ「(さえぎるように)誰と、戦ったんだ?」

ノエル「シグルズ、どうしたの・・・・・怖い顔、してるよ?」

シグルズ「敵は誰だ?誰と戦った?アンタの知人の息子が帰ってきたってことは、
   死んだのは担い手だな?誰が担い手を殺した!?」

フィーネ「(食い気味に)シグルズ」

シグルズ「っ!?」

フィーネ「・・・・・すみません、匠造さん。報告を続けてください。」

匠造「私は構わんが、お嬢さんの方こそ大丈夫ですかな?
   これ以上言わなくとも、お嬢さんは私の言葉を少しは先読みできているのでは?
   親友によく似た孫娘だ、わずかな仕草もよく似ている。」

シグルズM「ふとフィーネの方を見ると、テーブルの上で握られた手に違和感があった。
   ・・・そうだ、握り方が違う。
   いつもは左手を掴むようにして握っているのに、今は右手を掴むように握っている。
   俺の知らない、フィーネの無意識による表現。
   これが意味するものは・・・・・・」

フィーネ「私は、報告をお伺いするまで、自分の考えを確信に変えるわけにはいきません。
   報告をお願いします。」

匠造「うん、やはりバジルによく似ている。
   決して引かず、逃げることを許さず、感情の爆発を認めない。
   ・・・わかった、改めて報告しましょう。」

シグルズM「わかっていた、わかっていたんだ、俺だって。
   いつか、この時が来るって。
   ただ、信じていたかった。
   もう少し、穏やかで平和な時間が続いてくれるって。・・・・・なのに。」

匠造「4日前の昼過ぎ、廃ビルの屋上にて魔剣サイドの担い手および契約者と交戦。
   応戦したのは『ミスティオン』関東支部所属・沖坂 光邦(おきさか みつくに)と、
   聖剣の担い手・立花 宗茂(たちばな むねしげ)。
   戦闘は当初優位に進められたかに見えたが、相手の一撃から形勢を急転させられ、
   マージ・ウェイク状態のまま聖剣を破壊された。
   担い手は死亡し、契約者は敵から君への伝言とともに見逃され、敵は逃亡。
   現在契約者であった沖坂は心身ともに重傷のため、実家にて療養中。」

ノエル「担い手をすぐ近くで失って、生きて帰されるなんて・・・そんな・・・・・!」

マナ「ノエル、今は失うことなんて考えんな。大丈夫だから。」

ノエル「でも、でも!急に一人になるんだよ!?ちょっと前まで一緒にいたのに!
   僕はヤダよ!一緒に戦ってたマナがいきなり帰ってこなくなるなんて!」

マナ「落ち着けってノエル!大丈夫、絶対そんなことにならねぇって。な?」

フィーネ「・・・ノエル、ローズティーが飲みたいわ。淹れてきてくれるかしら?」

ノエル「え?ぁ、はい・・・・・すぐ淹れてくるね。」

マナ「(フィーネに向かって)・・・悪いな、気ぃ遣わせちまって。」

フィーネ「報告の状況的にも、重ねてみてしまったんでしょう。
   あなたとはよくマージ・ウェイク状態で戦うから、
   殆ど一心同体、常に傍にいて当たり前の存在といえる。
   ノエルはまだ子供、失うことに殆ど耐性も無くて怖がってる。
   傍にいてあげて。」

マナ「あぁ。」

シグルズM「いつもの気丈で冷静なフィーネが、今日はいくつもの感情をこぼしている。
   祖父を知る人間との接触、凄惨な事件の報告からの推察、ノエルへの気遣い。
   けれど、ノエルとマナを退場させた今は、すっかりいつものフィーネに戻っていた。」

匠造「ノエルくんには悪いことをしてしまいましたな。耳を塞いでいてもらうべきだった。」

フィーネ「いえ、お気になさらず。従業員のことは、私が後で対処します。」

匠造「お手数おかけします。」

フィーネ「・・・・・たった一撃で形勢を急転させられる敵、
   私へ報告する必要のある敵で、ジェイク・アクランドが忠告を残す存在。」

匠造「隠す必要もありませんな。そう、『魔弾の射手(しゃしゅ)』ですよ。」

シグルズ「やっぱり、アガーテ・クラインハインツか!」

匠造「アガーテは、負傷した契約者が『ミスティオン』の者であると知り、
   あなたへのメッセンジャーとして生かしたそうです。
   その封筒の中には、沖坂と追跡班から報告された魔弾の情報と、
   アガーテが指定した場所の情報が入っています。」

シグルズ「指定?どういうことだ?」

匠造「呼んでいるんだよ。『望月の日に待ってる』、だそうだ。」

シグルズM「するとフィーネは、受け取っていた封筒を開き、中の書類を取り出した。
   負傷者の被害状況、戦闘スタイルや戦闘状況を含む記録のほか、
   アガーテが渡したという端末に残っていた場所の情報が記載されていた。
   ここから近くも遠くもないくらいの距離で、人気(ひとけ)のない広い場所。
   障害物の殆どない、魔弾が飛び交いやすい場所だった。」

フィーネ「望月、とは?」

匠造「日本で言う十五夜、つまり15日のことです。
   次の15日、その場所で待っているということでしょう。」

シグルズ「・・・・・いよいよか。」

匠造「親友の仇であることは、ジェイクと話した時に大方察しましたよ。
   私が適合者ならば、自分で仇討ちに行きたかった。
   ・・・加勢が必要であれば、『ミスティオン』からいくらでも」

フィーネ「(さえぎるように)その必要はありません。これは、私の問題です。」

匠造「お嬢さん・・・・・」

フィーネ「祖父バジリウスの仇は、私がとるべきものです。
   加勢も助力も、受け取るわけにはいきません。
   これは、私が討つべき最悪の咎です。
   仇討ちの覚悟は、1年前に決めております。」

匠造「・・・わかりました。もう私などでは止められないのでしょう。
   『ミスティオン』へは、私の方から人払いと後始末を依頼しておきます。
   心置きなく、あなたの強い意志を持って魔剣を振るいなさい。」

フィーネ「ありがとうございます、匠造さん。」

シグルズM「心なしか、張りつめていた空気が軽くなった気がした。
   改めてフィーネの方を見てみると、右手を掴んでいた左手は、
   いつものように、右手に掴まれる形になっていた。
   あぁ、俺の知っているフィーネだ。」




間。



[日本のシュヴァイツァー邸・正門。フィーネとシグルズが匠造を見送る。]

匠造「いやぁ、重苦しい話ばかりで申し訳なかった。
   次にお会いする時は、もっと明るい話題にしましょう!」

フィーネ「えぇ、もちろん。」

匠造「ではでは、私はこれで。」

フィーネ「はい。お体にお気をつけて。」

シグルズM「フィーネに一礼してから、おっさんは黒塗りの車に乗って屋敷を後にした。
   見えなくなるまで車を見送った後、俺とフィーネは屋敷へ戻る。
   向かう場所は、ノエルの部屋。」

マナ「・・・あ、おっさん帰ったのか?」

シグルズ「まぁね。ノエルは?」

マナ「見ての通りだ。くっつき虫状態でよ、ははは」

シグルズM「苦笑してみせるマナに対し、事態は深刻そうだった。
   元気で明るい性格が取り柄のノエルが、不安げな表情でマナにしがみついている。
   ほんの一瞬想像しただけでこんなんじゃ、しばらく戦闘もできやしない。
   ・・・ただ、そう思っていたのは、俺とマナだけだったらしい。」

フィーネ「ノエル。」

ノエル「ぁ、フィーネさん・・・・・えっと、その・・・・・」

フィーネ「大丈夫。あなたの担い手は、そう簡単に死ぬような人じゃない。
   それに、匠造さんの言っていた敵と戦うことはないから。」

ノエル「でも、じゃあどうしてフィーネさんに報告が来たの?
   僕たちがいつか戦うからじゃないの?」

フィーネ「いいえ、あなたたちは戦わない。戦うのは、私。」

ノエル「なん、で?」

フィーネ「『魔弾の射手』、アガーテ・クラインハインツ。
   1年前、私のお祖父様を殺した快楽殺人犯。
   そして今、アガーテは私を狙っている。
   だから、ノエルは戦わなくていい。」

ノエル「それは・・・そしたら、フィーネさんが殺されちゃうかもしれない!
   いや、シグルズかもしれないし、どっちにしろ危ないよ!」

フィーネ「わかってる、私もシグルズも。
   それでも、お祖父様の仇を討つと決めたから。
   聖剣と魔剣の戦いに関係なく人を殺せる人間を、これ以上放ってはおけない。
   戦わなきゃ、傷つく人が増えるだけよ。」

ノエル「・・・・・・フィーネさんは、なんで戦えるの?
   あんなに怖いことを聞いた後なのに、どうして戦うって言えるの?」

シグルズM「今にも泣きそうな、不安に満ちたノエルの声。
   対するフィーネは、ノエルの頭を優しく撫でながら、その問いに答えた。」

フィーネ「私は、私の世界を、私を取り巻く世界の平和を守りたい。
   ハイドも、ノエルも、もちろん私も、皆が安心できる時間を奪われたくないから、
   私の守りたいものが壊されようとしているなら、
   どんなに凶悪でどれだけの脅威が敵であっても、私は戦う。」

シグルズM「それは、めったにこぼすことのないフィーネが戦う理由。
   決意を固めたフィーネの目は、真っすぐ、そして諭すように、
   まだ怖がりな子供のノエルへ向けられていた。
   フィーネの言葉に何かを理解したらしいノエルは、
   その顔から不安を拭い去っていた。」

ノエル「やっぱり、フィーネさんは強くてカッコいいね!」

シグルズ「クスッ、当たり前だろ?なんたって俺のフィーネなんだから。」

フィーネ「あなたのものになった覚えはないけれど?」

シグルズ「うっ・・・いい感じにまぎれさせたと思ったのに・・・・・」

マナ「ッハハハハハ!油断も隙もありゃしねぇな!」

フィーネ「さ、後片付けを。それと、ローズティーはまだかしら?」

ノエル「あ、いけない!すぐ淹れてくる!マナはお片付けお願いね!」

マナ「お〜」(ノエルを見送る)

シグルズ「・・・今日はやけに優しいね?フィーネ。」

マナ「あのおっさんの話の途中から、ノエルの様子に気付いたみてぇだったな。
   気丈なお姉さんが珍しく見せた優しさ、ってか?」

フィーネ「・・・・・・必要だった。」

マナ「あ?」

フィーネ「あの子には、必要だっただけよ。私とは違うから。」

マナ「それ、どういう意味・・・」

シグルズ「(さえぎるように)さ〜さ〜、俺たちはさっさと片付けに行くぞ〜」

マナ「おおおおおい!押すな押すな!どういう意味なんだよおおおおおおお!!!」

フィーネ「・・・・・私には要らなくても、あの子には・・・。」

シグルズM「決められていた、わかっていた運命が、もうすぐ。
   フィーネが俺と契約した最大の目的がやってくる。
   魔弾に負ける気なんてこれっぽっちもなかった・・・・・でも。
   何かが終わってしまうような気がして、どこか悲しかったのも確かで。」



To be continued.
		



こちらの台本は、コンピレーション企画「Arc Jihad(アークジハード)」にて書かせて頂いたものです。
他の参加者様の台本はこちらへ


   
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